ヒデの日記 hide's diary

考えたこと、登山

香港中国旅行4日目

 

9:21
 8時に起きて、今メトロの中。秋葉原の数十倍あるという深圳の繁華街に向かうところである。起きてから気づいたのだけど、ホテルの部屋に窓がなかった。日が差し込まないせいで、ひどく目ざめが悪い。こちらに来てから何かと眠りが脅かされてしまう。1日目のフロント不在、2日目の道迷い、そして今日の窓無しの部屋。駅に着いたのでゆく。
 
9:33
 お腹が痛い。
 
12:33 空港行の電車の中で
 
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 思ったことが2つある。1つめは、深圳は日本で言われるほど進んだ都市ではない。
というのは、たしかにAlipayやMobikeなど目新しいサービスは多いが、目の前にしてみれば日本のsuicaと変わらないし、現金も受け付けてくれる。mobikeも便利だが舗装の雑さや人ごみのせいでそこまで移動時間が短くなるわけではない。電気街もバッタものが多く薄汚れた街並みで、自前で付加価値を付けられるようになるまではまだ時間がかかる。『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の中でスコット・ギャロウェイが主張するように、商品・サービスに大きな付加価値をつけるためにはそのブランドにセクシーさが必要だ。クジャクの羽のように、強烈なセックスアピールを持たねばF40にバカげた値段はつかないし、人が相場の2倍もするスマートフォンを買うことはない。深圳のoppo直営店は入り口の真正面の巨大モニター、木を取り入れたインテリアとガワだけはそれっぽく作られているが、店員のセンスの無さはどうにも隠せない。f:id:enjoyemotion:20181124225252j:plain少なくともApplestoreの店員は絶対にこんなダサいシャツインはしない。これではoppoスマホを買って、自分がより性的魅力にあふれる人間になったとは思えない。
 
 ここまで書いて思ったのだけれども、スコットは時代の流れによる価値観の変化についてどう考えているのだろう?よく考えてみれば数十年前の日本の高度経済成長は日本製品のセクシーさによるものでは断じてないし、GAFAが世界を牛耳り始めたのはここ10年の話だ。結局20年後に誰が勝者となっているのかはわからないし、「セクシーさ」という概念がブランドの成功にとって重要なファクターであり続けるのかどうかは微妙なところだ。したがって上の僕の考察は射程が短すぎる。あと数年の内は正しいかもしれないが、2000年の世界と今の世界がかけ離れているように、2040年の世界がどうなっているのかは神にしかわからない。語りえぬものについては沈黙したい。
 
the four GAFA 四騎士が創り変えた世界

the four GAFA 四騎士が創り変えた世界

 
 
2つめは中国には「礼儀知らずという礼儀」がある。書こうとしたが眠くてだめだ。少し眠ってから書きたい。
 
19:20 成都行きの機上にて 
 まもなく成都につく。「礼儀知らずという礼儀」というのは、周りの礼儀知らずを承認することが中国の礼儀だという意味だ。言い換えれば、私はあなたに気を使わないが、あなたも私に気を使わなくてよい。みんなが他人に気を使わないことを前提に社会が回っている。
 礼儀というのは「ある社会集団の中で共通認識されているもののその詳細及び罰則が明文化されていないルール」と言い換えられるが、その「明文化されていないルール」が中国にはない、ほとんど。例として挙げれば「飲食店で子供を泣かせるべからず」「煙草をポイ捨てするべからず」「電車の中で電話するべからず」というものだ。ここ中国では飲食店で赤ん坊がギャン泣きしていようと誰も気にしないし、路地は煙草の吸い殻だらけで、電車の中では皆大きな声でスマホにがなっている(中国版LINEは基本声で使う)。礼儀知らずなのは人だけではなく機械だってそうだ、切符の自動販売機は破れた真ん中をテープで留めたボロ札をお釣りに渡してくる。
 もちろん礼儀という外圧のおかげで僕たちはなんとか人間の形を保っていられるのだけれど、日本の同調圧力は時々息苦しくなる。だからその減圧に、山に登ればよいのだろう。ちょうど酸素も薄くなる。機体が成都に降りた。思えば香港についたのは3日前だ。日本が少し恋しい。
 
20:19 
 「中国にルールがない」というのは誤りで、確かにみんな大らかだが、大らかであることを強制されてもいる。彼らはおでんのお椀の横に汁がびしゃしゃになったやつを平気で渡してくるし、コンビニ店員のお釣りの渡し方はわしづかみだ。
 僕の嫌いな友達が「寛容であることを強制するのは寛容ではない」と言っていたことを思い出す。結局その土地にはその土地のコード、決まりごとがあって、それに多少従ったり反発したりしながら生きて行くほかないのだ。駅で降りる。
 
5日目へ続く